食物繊維

腸をキレイにする

食物繊維は「残りカス」

食物繊維とは、生体内で消化吸収されない植物性および一部動物性の食物の残りカスと定義されます。ですから、逆にいえば食物繊維自体は何の栄養もない、一見無用の長物のように思われます。

腸の圧力を正常に

しかし、この食物繊維があれば、腸の内容物の量が増加します。そしてそれは腸内の圧力を正常にします。

悪玉菌の増殖を抑える

腸の内容物の量が増せば、それを消化吸収、輸送するために腸のはたらきがよくなり、それによって有害な物質を体外に便として排泄したり、悪いタイプの腸内細菌(悪玉菌)の増殖を抑えたり、一緒に摂取した糖分の吸収をおくらせたり、余分な脂肪を洗い流したりといった有益な作用が見られます。

逆に、食物繊維の少ない食事を続けると、腸の中の圧力が低くなり、腸のはたらきが悪くなるのでいろいろな病気の原因になると考えられています。

不足すると便秘、肥満に

腸の病気では、便秘症、大腸憩室(腸の壁に小さな袋状の余分な部屋)ができ、時としてそこに食物の残りカスがたまり、炎症を起こす)、大腸ガンなどがあります。

その他、肥満、糖尿病、高脂血症、さらに高血圧症などにも関連があるとされています。

食物繊維と大腸ガンの関係

食物繊維に関して最も注目されているのは、大腸ガンとの関係です。

欧米では肉中心の食事で食物繊維の摂取量が少なく、大腸ガンの発生率が高いのに対して、食物繊維摂取量の多いアフリカでは大腸ガンの発生が少ないというデータがあります。

日本人と食物繊維

日本では戦後、欧米式の食生活の影響で食物繊維の摂取量が大幅に減少しました。それに伴って、大腸ガンの発生率が近年上昇してきています。

動物性たんぱく中心の食事

大腸ガンの発生には食物がある種の腸内細菌の作用で腐敗することが関係していると推察されています。腐敗・変質してできる有害物質が悪さをしているのです。

食物繊維の少ない動物性たんぱく中心の食事は、この有害物質を増加させるばかりか、腸の運動を悪くさせます。

成人病の予防効果

食物繊維は、それらを便として体外に排泄するのを助ける作用があります。つまり、繊維分の多い食事は、便秘などによいのはもちろんですが、大腸ガンの予防にもなると考えられています。

その他、食物繊維には大腸憩室の悪化や高脂血症、糖尿病、高血圧症といったいわゆる成人病の予防にも作用するといわれ、近年注目を集めているのです。

ダイコン、レンコン、ゴボウ、海藻、コンニャク

具体的に繊維分の多い食品をあげてみますと、ダイコン、レンコン、ゴボウといった根菜類、ワカメなどの海藻、コンニャク、リンゴ、カニなどがあります。

1日最低20g摂取を

これらに含まれる食物繊維を1日最低20gは摂取することが望ましいとされています。栄養にもならないものが、実はきわめて有益であるという、いわば「無用の用」がここでもみられます。